アブソル | タイプ1:悪


高い攻撃力を持ち、主に高山などに生息するとされる。 特徴的な風貌のポケモン(後述)で、かまいたちなどのワザを得意とする。

このポケモンが姿を現すとき、洪水や土砂崩れ、地震などの天変地異が起きる。 古来より災いを招く存在として忌み嫌われ、 いつしか彼らは「わざわいポケモン」と呼ばれるようになった。 獣型のポケモンで、白銀の毛皮を持ち、顔と尾と爪、 そしてこのポケモンに最も特徴的な頭部右上から生える鎌のような角は黒色である。 その風貌からもこのポケモンは、死神とか白い悪魔などともしばしば呼ばれていた。 この風貌――人によっては死神を思わせるような――が、 上記のような"迷信"に拍車を駆けたと推測される。 このような誤解から、彼らは永きに渡り不遇の歴史を辿ることになる。 見つけ次第に殺されるのはもちろんのこと、 地域によってはアブソル狩を専門とする職まで存在したと言われる。

そんな彼らに光が当たり始めたのは近年になってからだ。 ポケモンの研究が飛躍的に進むにあたり、徐々にではあるがその誤解は解けていくこととなる。 彼等が持つのは災害を引き起こす能力ではなく、実際には災害の予兆を感じる能力であった。 実際に彼らが高所から姿を現し、ひとたび吼えれば、 他のポケモンたちは危険を察知してその土地から避難していくのである。

○○年になり、国は携帯獣保護法を施行。 アブソルは第一種保護携帯獣に指定される。 殺す行為はもちろんのこと、ポケモンリーグが指定する ポケモンバトルでの使役またはそれに順ずる行為以外目的での捕獲が禁じられた。 また、永年にわたる悪しき風習を排除するため、このポケモンに関する知識の啓蒙が行われた。

その成果があってか、このポケモンはバトルやコンテストでも少しずつ見かける機会が多くなり、 一部に熱狂的なファンや専門のブリーダーを生み出すまでになった。 このような動きには、それまでの間アブソルの所持をおおっぴらにしていなかった トレーナーたちがその所持を明らかにした点も貢献したと思われる。

しかし、ポケモンリーグ放送が本格的に普及しだした○○年、 ある試合の内容に多数のクレームが入るという事態が起こった。 中継されたポケモンバトルにアブソルが出場していたためである。 以降、十数年に渡りアブソルの出場試合がホウエン放送側の自主規制によりカットされるという慣習が続いた。

アブソルが災いを運んでくる。 近年になりホウエンでもそのような迷信を信じる者はほとんどいなくなったが、 いまだ年配者の間では嫌悪を感じる者も少なからずいることも事実である。 最近ではアブソルを連れたトレーナーがヒワマキの旅館宿泊を断られるケースがあり問題となった。 このポケモンが完全に市民権を得るに至るには今しばらくの時間がかかりそうである。


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