石の洞窟で石を探していたら、赤い服の女の子がワカシャモを伴ってやってきた。
「ダイゴってあなた? 手紙もってきた」
 と、ややぶっきらぼうに言った。
「そうだよ。ありがとう」
 僕が答えて手紙を受け取ると、女の子はへえと僕の顔を上目遣いに見つめると、
「ふうん、社長の言ってたドラ息子ってあなたなの」
 と、言った。
「……はい?」
 僕は顔をひきつらせた。
 と、父さん、この子に一体何を吹き込んだんだ……?
 だが、一方の女の子は僕のそんな心持ちには関心ないとでも言うように
「それより私、おなかすいた」
 と、続けたのだった。
「えっ」
 それはどういう意味だろう。なんとなく嫌な予感がする。
 すると女の子はまじまじと僕の顔を見つめ、
「おなかすいた」
 と繰り返した。

 女の子はアカリちゃんというらしい。その後、行きつけのレストランに連れて行って食事をおごったんだけど、アカリちゃんの食べる事食べる事。
 メインの肉の塊は三人前、オムライスにスープ、Lサイズのメロンソーダを飲みほし、デザートもやっぱり三人前を平らげると、それじゃあと彼女は去って行った。
 
「……父さん、覚えてろよ」
 僕は残骸ばかりが残った皿の数々を眺めながら悪態をついた。